beatmania IIDX 21 SPADA

僕のBEMANIは自宅の家庭用から始まりました。

5つの鍵盤、ターンテーブル、真っ黒なコントローラーと交換式のアペンドディスク。
一緒に遊ぶ友人は段々と減っていき最後は部屋で一人、画面と向き合っていました。

ゲームセンターで初めて出会ったBEMANIは鍵盤が7つになっていて驚きました。
ビカビカと光る存在感と重低音、少し怖かったです。

担任に寄り道するなと言われても見つからないように通い、見回りの先生に見つかってもなお続け、
9つのボタンを叩き、ギターやドラムを覚え、4つのパネルを踏み、何度も何度も遊び続けます。


僕は音楽を作り始めました。


上京。新しい生活は何もない部屋から始まりました。
家族も友人も頼る人もいない新天地でひたすら音楽を作り続ける。

部屋はあの時と変わらずいつも独り。

ある日、僕は音楽が作れなくなってしまいました。
何も出てこない、何も作れない。生きていかなきゃ。

時間は過ぎていきます。

生きなきゃ。誰にも頼れない。音楽を取ったら何も残ってない。
でも音楽が作れない、辞めた方がいいのかな。


苦しんでいた時期に僕は再び、BEMANIと出会いました。

beatmania IIDX 19　Lincle「Phoenix」
あの頃ゲームセンターで遊んでいたタイトルから10作後のことです。

目指していたことが叶ったのに、それでも辛い。なぜだろう。
「もうちょっとだけやってみよう」「どうしてもダメなら諦めよう」


こうして今に至ります。
ここで音楽を諦めるか続けるか、今でも考えます。
辞める覚悟はあの時にできている、でもあの時BEMANIに出会わなかったら、僕は救われていなかった。


夢は叶えて終わりじゃない。きっとそこから始まる。


僕や僕の音楽に誰かの心を動かす力があるかどうか分かりませんが、
どうか、どうか貴方の聞く音楽が、貴方の遊ぶBEMANIが、貴方の人生の支えになりますように。

そう願って、僕は貴方へこの曲を贈ります。