kors k『Let's Do It Again!!』発売記念特集
-kors kにきく”Electronic Dance Music”の世界- 2015.04.03
皆と同じ時間とか、同じテンションを共有するっていうところに
EDMの魅力はあるんじゃないかなと
──今回はkors kさんに、”Electronic Dance Music”の世界をご紹介いただきたいなと思っています。わざわざkors kさんにきくなんて失礼かなと思ったんですが…EDMの魅力はあるんじゃないかなと
「いえ、前回のファーストアルバム『Let's Do It Now!!』のときにEDM推しだったので、今回そうやって声かかったのはすごく光栄に思います」
──ありがとうございます!”Electronic Dance Music”の魅力を語って頂けたらと思います。まず、”EDM”ってなんだろう?というユーザーさんのために、kors kさんにとって、”EDM”というジャンルはどんな音楽なんでしょうか。
「そうですね。今世界的にすごく流行りとして、”Electronic Dance Music” 頭文字とって”EDM”っていうんですけど、もともといわゆる打ち込み系のクラブミュージックのことを総称してEDMっていってた時期もあったんです。今は海外の大きい何万人規模のフェスとかで、皆で合唱したりだとか、とにかく踊りまくって盛り上がるパーティーのカルチャーを含めてのEDMだと僕は認識してまして。やっぱりそのお祭り騒ぎ感がすごくこう…、家で普段音楽聴いたりするのも楽しいんですけれど、皆と同じ時間とか、同じテンションを共有するっていうところに、EDMの魅力はあるんじゃないかなと思いますね」
──他のジャンルと違うと思うところはありますか?
「特にここ数年は、EDMっていう音のフォーマットが固まってきていて。先程も言ったように、誰でも覚えられるようなすごくキャッチーなメロディーから、誰でもわかるようなテンションが上がるようなビルドアップがあって、そのあとにドロップと言われる、お客さんがジャンプしたりとかするすごく盛り上がるサビみたいな部分があるんですよ。そことの対比がすごく面白いなとは思いますね。すごくフレッシュな音なので、今まで流行ってきた、例えばダブステップだとか、十年前だとトランスだとか、そういう音楽シーンが通ってきた音がすべて集約されているなという気はしますね」
──ダンスミュージックのフュージョンみたいな感じ?
「そうですね、ホントにいいとこ取りしてて。僕ら音を作る側からしても、今まで当然だった音作りにさらに一手間、一癖が加わったような音作りが主体になってきていて。とにかく、ゲームでやっても面白いと思うんですけど、人を動かすテンションを上げるところにすごく特化した音楽だと思ってます」
──EDMを初めてきくのにオススメなアーティストとか、アルバムとかはありますか?
「一般的にいったら、Hardwellっていうオランダの世界No.1 DJがいまして、彼はEDMド直球って感じでいいと思いますね。歌モノだったり、最近アメリカのヒットチャートとかをEDMソングが賑わしていて、そのへんとかだとDavid Guettaとか、Aviciiとか。あとは…オランダ人がずっと世界の音楽を牽引してるなってイメージがあって。世界的ヒットした”Animals”という曲を当時16歳でリリースしたMartin Garrixっていうアーティストが、新しい音を生み出しているなというイメージはありますね。日本人でも最近EDMに注目されてきてて。例えばDJ KSUKEくん、今年のULTRA(※)にでたりする方なんですけど。その彼も元々はbeatmaniaやってて。あとは三代目J Soul Brothersに楽曲を提供した、Maozon君とか。その辺のクリエイターとかもだいぶEDMにいってるというか、そっちのサウンドアプローチをしはじめてますね」
※ULTRA MUSIC FESTIVAL。毎年3月にアメリカ・マイアミで開催される世界最大級のEDMフェス。
ブックレットの裏とかみて、デモテープ募集してたりしないかなとか探ってたんです
──BEMANIの話が出たところで。kors kさんのBEMANIデビューがbeatmania IIDX 4th styleでしたね。今やSOUND VOLTEX FLOORで楽曲応募もしやすくなりましたが、当時は一般公募で抜擢されるのはかなり難しかったんじゃないかと思われます。当時を振り返っていかがですか。「そうですね。一般公募というのが行われる前から、僕はいくつだっけな…中学2年生くらいだから14歳くらいのときから、家庭用でbeatmaniaをやってたんですよ。その時から音楽もやっていたので、これに自分のオリジナルの曲が収録されたらなんて素敵なんだろう!というふうには思ってたんですよ。いろいろブックレットの裏とかみて、デモテープ募集してたりしないかなとか探ってたんです。それがオープンに、beatmania IIDX 3rd styleのときに楽曲公募があるときいて、満を持してという感じで送らせていただきました」
──公募があったから作ったのではなく、はじめからbeatmaniaに収録される機会を狙っていたと?
「そうですね、はい。当時送ったデモテープには、beatmaniaすごくハマってたので、色んなジャンルが入ってるじゃないですか、beatmaniaって。そこにもすごく触発されていたので、MDに10曲くらいいれて、全部ゲームサイズにして、さらに全曲ジャンルが違って。今の自分のポジションみたいな、アピールの仕方は当時から固まっていた気がしますね。もう15,6年前になりますかね」
──もうすぐデビュー20周年なんですね!
「少し気が早いけどそうかもしれないですね。そう考えると時間が経つのは凄く早いです」
──BEMANIシリーズと、EDMの親和性ってどこにあるのでしょうか
「僕はジャンルの特徴をとらえるときに、職人耳できいちゃうんですけれど、4つ打ちに対するグルーヴの絡め方っていうのが、なんていうのかな、EDMって素直じゃないんですよ。例えば、一小節の間でフレーズを本来つくる、集約するところを、あえて二小節で展開していくようなフレーズだったりとかっていうのが、僕の中ではEDMと音楽ゲームが特化する、”叩いてて面白い”というか、複雑なシーケンス組めるようなイメージはありますよね。あとは、音にインパクトがあるんですよ、EDMって。なので叩いたり、自分がボタンを押したときにわかりやすいアタックやエッジが効いている音っていうのは、親和性が高そうな気がしますね」
音楽すごく嫌いだったんですよ、僕
──kors kさんが打ち込み音楽、DTMを始めたきっかけを聞いていきたいと思います。先ほど14歳くらいのときに曲を作っていたという話がありましたが…「DTM自体はもっと早かったんですけど、12,3歳くらいですかね、中学あがったくらい。音楽すごく嫌いだったんですよ、僕」
──えぇ!?
「というのも、ピアノだとかヴァイオリンだとか習わされた時期が幼少のころあって、当時からしたらそんなことするよりも外で駆けずり回って遊んだりとか、そっちのほうが興味あったし、あんまり好きじゃなかったんですよね。それが、だんだん成長するにつれて、流行りモノとかに興味がでてきて、当時J-POPシーンで90's J-POP、小室さん、いわゆるTKブームがすごくて。音楽番組で小室さんがキーボード弾いてる姿をみてカッコいいな、自分もやってみたいなって。それまではゲームセンターにいってゲームばっかりやってるみたいな子供だったんですけど、家庭用の当時持っていたゲームをすべて売り払って、シンセサイザーの購入資金にしました」
──どんなキーボードを買ったんですか?
「YAMAHAのCS1Xっていう、当時ぎりぎり買えるくらいで新しくてっていうやつでした。5,6万くらいだったかな?中学上がるか上がらないかくらいのときに、御茶ノ水にいって、お店の人と値段交渉したりとかがんばって、電車で持って帰って、みたいな感じでした」
──先ほど小室さんがキーボードを弾いているのがカッコいいって仰っていましたが、弾く方ではなく、作る方だったんですね?
「単純に、小室プロデュースというものが世間を圧巻していたんで、それをみて自分もそういう音を出してみたいって」
──いかにもクリエイターですね。憧れたのは”演者”じゃなかったんですね
「そうですね、演者は恥ずかしい部分もあって。今でもすごく緊張したりしますし。呼ばれていったところでも、自分は果たしてこの場にマッチしているんだろうか、みたいな邪推しちゃったりするんですけど。スタジオワークだったら自分一人で、自分の世界に閉じこもってできるので。まぁいったらオタクですよね」
──(一同笑)