kors k『Let's Do It Again!!』発売記念特集
-kors kにきく”Electronic Dance Music”の世界- 2015.04.03
初めて見たライブだったけどDJが良すぎて泣いちゃったアーティストがいたんです
──さきほどのEDMの話に戻りますが、kors kさんがEDMを知ったきっかけや、作ろうと思ったきっかけはありますか?「そうですねぇ…う~ん。音楽の流行りはずっと追ってたんですよ、トレンドとして。その流れで当時EDMって…当時EDMって言ってなかったのかな?」
──EDMっていつからEDMなのでしょうか
「ダブステップとかが出てきて、オランダのダッチハウスとかシンプルなエレクトロがあったり、今EDMは基本的にエレクトロとかプログレッシブハウスな音を主に指しています。僕はハッピーハードコアとか、ハードコアとかハードトランスとか、イギリスの音に凄く影響されていた時期があったんですけど。世界的にEDMが流行ってくるとどのジャンルもアプローチを敏感に取り入れてくるんですよね。で、最近自分が聴いてるイギリスの音がちょっと変わってきたなと思っていた時に、『あ、EDMというものがあるんだ』と知って。それから色々聴いていったら、人気ある人はTwitterのフォロワーがDJなのに何百万人といたりとか、YouTubeの再生数が1億再生いってたりとか。それって今までのクラブミュージックじゃ本当に考えられなかったことなんですよ。で、そのブームを自分もやりたいなと思ったことが大きかったですね。さきほどEDMの主要アーティストとして挙げ忘れてしまったんですが、僕が家で聴いて『別に普通じゃん』と思ったんですけど、ライブを見に行ったら、初めて見たライブだったけどDJが良すぎて泣いちゃったアーティストがいたんですよ。それがさっき言ったダッチハウスのはしりであったアフロジャックっていう人で。アフロジャックは本当に大好きですね」
──いつも流行りの音楽を追いかけていたとおっしゃっていましたが、最新の音楽はどうやって探して聴いてらっしゃるのですか?
「海外のmp3を、ようはDJがDJユースで使う曲をダウンロードするBeatportというサイトだとか。そういうところは今売れてる曲のランキングを100位くらいまで出してたりしてて。あとはジャンルごとにチャートがあって、それを追っていってもトレンドは全然追えるんですけども。お金もかけないで簡単に探す方法としてはYouTubeと、SoundCloud。大体そういうところって有名なアカウントがあるんですよ。ここがプッシュしてくれたらすごく人気出るみたいな。その人たちが曲作ってるわけじゃないんですけど、プロモーターみたいな感じですよね。そういうのを追ってるだけでもすごく新鮮だし、フレッシュな音はいっぱいありますね」
──今もそういうところで新しいのがあったら聴いてみようと?
「そうですね。毎日はさすがにやってないんですが。本当に今って音楽が1日に何千曲とリリースされているんで、それを追うのって結構大変だと思うんですよ(笑) 実際、こう言っちゃうのもなんですが、流行りの音が一個ぼーんと出てきたら、それに対するフォロワーの音が、似たような音がいっぱい出てくるんですよね。それもやっぱり当たり外れがすごくあるんで。基本的には自分が好きなアーティストが持ってるTwitterアカウントだとか、YouTubeアカウントをフォローして、彼らのDJミックスの中に使われてたりする曲は誰の曲だろうと、そういうのを追っかけてたりはしてますね」
kors kが提唱する”Japanese EDM”
──次に、アルバムの話に入っていこうと思いますが、前回の"Let Do It Now!!"と比較して、今回はどういうアルバムになってますか?「今回、もともと企画としてはリミックス版という形でスタートしたんですよ。なんですが、せっかくセカンドでメジャーで出させていただくし、僕の名前もついているしというところで、またオリジナル曲をいっぱいやりたくなっちゃったんですよね。前回EDMにこだわりすぎちゃって、良くも悪くも偏っちゃったなというところがあったんですよ。あまりEDM、EDMというのも自分らしくないなと思い。さきほど言ったようにbeatmaniaという1タイトルの中には色んなジャンルがあって、そのバリエーションが一つの楽しみでもあるじゃないですか。やっぱりそこから出てきた僕としては、リスナーもそういうものを求めてるんだろうなと思って。Original sideに関してはジャンルの被りはほぼほぼないのかな。一応2曲目と8曲目くらいかな。それ以外は敢えてジャンルをどんどん散らしていったんですよね」
──EDMなら前作"Let Do It Now!!"を聴いた方がいいということですか?
「そうですね。あんまり言っちゃいけない話かもしれないですが、とにかく時間がなかったんですよ(笑)」
──(一同笑)
「で、色々見切りで企画が固まっていく上で、EDMってキーワードがあったんですけど。まぁ蓋を開けてみたらEDMがそんなに…っていうところだったんですよね。実際EDMっぽい曲って3曲目の"TOKYO"ぐらいなのかな。これが大分EDMアプローチっぽい感じかな。それ以外は敢えて制約は取っ払っちゃおうかなと、自由にやらせていただきました」
──『Japanese EDMの未来を切り開く!』というキャッチコピーがあると思うんですが、世界のEDMと日本のEDMでどう差をつけていこうとか、そういう信念はあったりしますか?
「日本人はメロディだとか、高音だとか、中域から高域にかけての音に耳がいくんですよ。で、海外の人ってベースだとか低域の音に耳がいくみたいで。色々EDM聴いてると、たとえばコード進行が同じ曲がいっぱいあったりするんですけれど。そこはやっぱり日本人の僕らとしてはメロディが美しかったり、メロディでリフレインされる記憶があったりするわけじゃないですか。なんかそういうところに日本人らしさを求めていくというのが僕が提唱するJapanese EDMなのかなと思いますね」
──なるほど。アルバムのリードトラックはどの曲になりますか?
「今回リードトラックとして作ったのは2曲目の"Big Ship"になります。僕が普段DJやライブしているシーンの、いわゆるジャパニーズハードコア、J-COREと呼ばれるシーンがあるんですけど、そこで活躍しているボーカリストとMCを今回フィーチャリングしてアンセム感溢れる曲になってると思います。あとは、8曲目の"New Lights(Extended Mix)"。こちらはbeatmania IIDX 20 tricoroに収録させていただいたロングバージョンになるんですけど、2分バージョンのゲームサイズで提供させていただいたときも自分の中で最高傑作の音ゲー曲になった感じで。それを今回KONAMIさんのご協力もあって、ロングバージョンにできました。苦労したところもあったんですが、2分で完成されてたんで、いかにいい具合に伸ばそうかというところは苦戦しましたが、完成したら自分の感覚は間違ってなかったと思える出来になったと思います。あと、今回9曲目から14曲がRemix sideになっていて。たとえばSOUND VOLTEXだったり、beatnation RHYZEのメンバーだとか、Ryu☆ちゃんだとか、馴染みのある面子に頑張ってもらっているんですが、なかでも10曲目の"Shibuya Jungle (lapix Remix)"という曲がカッコよすぎて。彼はSOUND VOLTEXで活躍しています。beatnation RHYZEでリミックスを固めるっていう方法も考えたんですが、そうじゃないフレッシュな、今来てる奴をピックアップしたかったんです。そのうちの1人がlapixくんで。音的にはいわゆるハイテックサイケみたいな感じので」
L.E.D.「ハイテックはbeatmania IIDXにも収録されてますね。kors kくんもやってくれてたよね」
「そうですね。そのハイテックってジャンルの日本代表なのかな?ハイテックのシーン自体が世界的にも今あまりリリースがないんですが、日本ではすごくシーンを牽引しているのが彼かな。リードしている所以を感じられるようなクオリティでガッツリ来てますね」
──聴き応えがありますね。では、アルバムを手にするお客様にメッセージをお願いできますか
「そうですね~」
L.E.D.「アガりたければ…?」
「そうですね(笑) 『アガりたければコレを聴け!』はもちろんですけれど、さきほども言ったようにバリエーションにすごく富んでるので、ダラっとかけてて日常のBGMにしていただいてもいいですし。SOUND VOLTEXで楽曲を作っているみんなにも参考になるような曲作りとして、テクニックとか、よく聴けばこんな音鳴ってたんだみたいなのが結構あったりすると思うんで、長く楽しんでいただければなと思います」