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Hommarju ft. Mayumi Morinaga
Sound / Hommarju
Mayumi Morinagaとは僕のCDアルバム等で数えきれないくらい一緒に曲を作りましたが、
IIDXやBEMANIにはほとんど出ていないので、こっちでもドンドン出していくぞ!という勢いで制作しました。
音楽ゲームや特にIIDXは曲だけが良くても成立しなくて、
譜面や映像などゲーム性からのアプローチも必要なので、全体的にはチームプレイなのですが、
個人的にはそこにボーカル曲としても成り立たせるという課題と向き合う事になります。
遊んでて面白く、聞いていても満足感があり、更に歌が存在する曲。
作ってる最中は「どうしてこれを作ろうと思ってしまったんだ…」と自問自答するくらい難航したのですが、
彼女の並外れた表現力のおかげで突破することができました!
僕は英語の歌詞を歌うMayumi Morinagaが特に好きなので、
その辺りノッている部分も聞いて頂ければ嬉しいです。
ぜひ全国の筐体でこの曲を大音量で鳴らして聞いてみてください!
Hommarjuでした!
Vocal / Mayumi Morinaga
Hommarjuくんからボーカルのオファーをいただきました。
なんとIIDXでの初コンビです!
歌詞とサウンドは両方彼が制作しているのですが、
歌詞の内容とその時の自分の心境がマッチしすぎていて
その世界に入り込むことはそんなに難しくなかったです。
レコーディング当日に歌詞の内容の元ネタというか、ベースになるものを聞いた時には笑いましたがとても共感できました。
毎回彼とレコーディングをするのが楽しいです。
翌日に前回とは全く違ったサウンドで仕上げてきたりするのでその進化を体感できるのも貴重でほんと面白いです。
共に制作すればする程新しい自分を引き出してくれるのでありがたいです。
仕上がった音源を聞いた時には絶対プレイヤーの皆さんに気に入っていただけると確信しましたので自信を持っておすすめします!
よろしくお願いします!!!
Visual / BEMANI Designers "GOLI"
GOLIです。
昔、某ゲーム雑誌で小コーナーの定期連載をさせて頂いた者です。
雑誌名と同じ曲名が届いたことに、運命を感じざるを得ません。
※まるで繋がりは無いと思いますけど(笑)。
この曲は、ボーカルが収録される前の、まだ完成の形になってない曲の頃からメロディーが好きで気になっていた曲でした。IIDX30の制作や、ロードバイクでの腰椎骨折の大怪我などが重なり、色々と苦難がありましたが、無事に映像が乗せられて良かったです。
曲の雰囲気や、歌詞が今作のシステムボイスの世界観にかなりあっており、IIDX29で自分が手掛ける最後の曲として、これ以上の曲はない!と、担当させて頂きました。なので、鎧のような特注のコルセットを腰に巻いて、椅子に座る痛みに耐えながらも、何とか作りました。
Hommarjuさんの悲しげでドラマチックなサウンド、歌詞。
Mayumi Morinagaさんの感情のこもったボーカル。
全てが美しい。
------------------------------------
【付録】
※かなり濃ゆいので、興味ある人だけ読んでね!
GOLIの脳内は常に理想郷。お花畑。
【2036年。天才博士D、刃雪達磨の罪】
2036年。神崎士朗に斬られ、菱宮重工が開発したコールドスリープ装置で、何年も眠りつ続けている菱宮津軽。ダルマこと刃雪達磨(はゆきたつま)は、津軽を目覚めさせる為に、天才的な頭脳で様々な研究に挑戦した。しかし、そのどれもが不毛な結果となる事に、憔悴しきっていた。
津軽がコールドスリープ状態になった当初は、菱宮財閥主体で研究チームが発足されていた。これまで怠けていた達磨も、真面目に勉学に取り組み、博士号を取得。関係者に便宜を図ってもらい、チーム員となった。最新の医療技術、世界的な名医。様々な研究がなされたが、病状の改善はなく、津軽が目覚める事はなかった。植物状態とみられる津軽の診断結果は、血液中の未知のウィルスによるものと推測された。全身を巡るこのウィルスは、身体の細胞を変化させる事がなく、成長も老化もしない。肉体の時間だけが止まっている。研究者達は頭を抱えたが、更に研究は困難を極めた。津軽の血液を採取しウィルス解析に試みた者は、もれなく津軽と同じ状態になった。厳重に全身防護服を着用しても意味がなく、まるでバラの棘のような紫色の触手が突如生まれ、体中を覆い、肉体の中へ消える。救急搬送された研究員は、コールドスリープ状態で厳重管理体制となったが、津軽同様に何年も改善は見られず、中には死亡扱いとし、葬儀を行う家族もあった。また、この超常的な事象を世に開示できる筈もなく、研究所のウィルス感染による死亡事故とされ、処理された。達磨も同様に紫色の触手に襲われたが、頭に付けていたヘッドギアに触手が触れた途端、物理的な傷を付けて弾け飛び、危機を脱する。弾け飛んだ触手は、コールドスリープの機械を通り越し、津軽の身体に吸い込まれ、消えた。まるで眠る津軽が、達磨を守ったかのように…。
以降、何年もの間、津軽の身体に直接触れることは禁じられている。菱宮財閥の研究員たちも、我が身の命には替えられず。と、チームを一人、一人と抜けていった。先任者たちが後を去り、研究は成長した達磨が主任となって引き継いだが、菱宮財閥で期待を寄せるのは、津軽の両親、祖父のみとなる。この超常的な事象は、現代の科学では解明できない為、達磨はこれらを専門とする梅桐家、また、同じく神崎家(※卑弥呼の呪縛から解放され、己の感情を取り戻した神崎紗矢)に相談。だが、紫の触手は、両家の超常的な力を用いても祓えない。最終的には、如何にして本体である津軽の意識と繋がり、覚醒させることが出来るか。という内容の研究に移行していく。
人の意識とはどこから来るのか?魂の所在とは?脳にある1000億個のニューロン細胞による電気信号だけではない、人の心の根源。魂の存在に関しての研究に没頭した。研究の一環として、記録に残る津軽の日常の映像や、達磨自身の記憶に残る思い出を元に、津軽の精神構造をロジック化し、AI化。その意識を模擬人形のテスト素体に移し、『ゼロツガル(SRX-00)』として生み出した。
2036年、AIの研究は進み、それらの商業も盛んになっていた。陰気な達磨を元気づけるべく、研究所を頻繁に訪れていた孔雀は、達磨が不在の際に、ゼロツガルに用いたロジックコードを見つけてしまい、ひらめく。「これは商売になる!」孔雀はデータを勝手に持ち出し(※犯罪です)、それを元に、様々な性格や体躯の違うゼロツガルのコピー品を量産(※犯罪です)。世を一斉風靡していたAI商品販売グループの傘下に入り、商品化して売り出してしまう(※犯罪です)。それらは『サンタ型ツガル(SRX-03)』としたシリーズで、世に広まることとなった。
最初はその事に憤怒した達磨だった。が、それぞれのコピーツガルのAIの行動、精神構造の成長にも、津軽を目覚めさせるヒントが何か生まれるかもしれない。と、苦渋の容認をする。また、世の中からクリスマスの時期に聞こえる、コピーツガルたちの、菱宮津軽に似た声を聞くことで、少しばかりの寂しさを埋めていたのかもしれない。
いつものように研究に没頭するうち、達磨はIIDXを楽しんでプレーしていた津軽の映像が、古いオンライン動画共有プラットフォーム、『キャストアワー』の中に、膨大に記録されていた事を知る。ただ、この2036年においては、もう利用者の誰もが、他の共有プラットフォームに移行して久しく、管理機能もまともでない『キャストアワー』である。当の津軽のIDも既に失われ、見つからない。様々な人々が世に出し続けた星の数ほどある映像の中に、津軽の姿を見つけ出すのは、正直、雲を掴むような話である。それらを一人で探し出す、永遠とも思える作業に、達磨はほとほと疲れていた。
ある日、転機が訪れる。
研究所にやってきた一人の、どことなく不可思議な人間、『あなた(※プレーヤー)』は、研究に興味があり、手伝ってくれるという。何者ともわからない人物ではあったが、今どき珍しく、プラットフォーム『キャストアワー』の知識はあるらしい。研究疲れの達磨にとっては、少しのきっかけであっても、津軽を目覚めさせる要因になればと思い、研究を手伝ってもらう事にした。…とはいっても、『あなた(※プレーヤー)』の大半の研究時間は、過去にショップ『ROOTS26』屋内に置かれていたIIDX筐体をプレーし、『キャストアワー』へ動画投稿をし、紐づいた関連動画を選別していくこと。もはや研究と呼べる事ではない。「正直、狂ってきているのかも知れないな。」と、達磨は自己分析もした。だが、何年も津軽の意識に繋がる方法はなく、何か行動を起こしていないと、すがれる事が無いと、自分を保てなかったのも事実であった。
「誰か教えてくれ。何が足りない…」
神にも祈る気持ちの達磨であったが、悲しいかな、それは人間が決して気がつく事が出来ない領域。
真理。因果。全てを知るのは、世界の外側の『神』と人に崇められた存在のみである。
人間の世界は、かつてのこの『神』たちの手により仮想的に作られた。
人間の世界の外側より、『神』と呼ばれた観測者達はただ、見守る。
悪戯に知識を与えても、ただの人間が、心の底から信じることは出来ず、目にも映らない。
存在を感じ取ることが出来ない。真理に到達することが出来ないからだ。
【観測者たち】
研究に没頭する達磨たちを、別の時空より見守る者たちが存在した。
今でも昔でもなく、時間の連続性を超えた場所。
C「やはり気がつきませんか。人間であるがゆえに…」
K「例え気がつけても、心の中から『それ』を信じることが出来ないのが人間です」
C「ですが…今回は『あの人』が傍にいます」
K「我々の力にさえ、影響を及ぼすほどの存在。『あの人』でも、この時間の流れを変えらるかは疑問です」
A「今は待ちましょう。その『時』を」
C「では…、やはりこの時間軸の歪みを生み出したのは、この者の『時』の行いの結果と」
K「世界を歪めた張本人。最も…彼は気が付きすらしないでしょうが」
A「この世界を正しい未来へ繋げられなかった責任。それは彼に罰として与えられる。永劫の時の鎖へと繋がれるだろう」
C「全ては…」
K「彼の…」
A「愚かな祈りの果て故に…」
天才博士Dは、自分の犯した罪に気がつけなかった。『ゼロツガル(SRX-00)』の奥底に組み込まれた、思考ルーチン。『自己成長』『自己改変』『自己増殖』。それらが遥かな未来、世界に生を受けた様々な命と同化し、一つの意識となる事を目的とした、巨大な意思を持つ最悪な自己増殖プログラム、『紫の砂』と呼ばれるものへと変異、進化していく事など。
C「全ての歪みは…」
K「現時間軸の世界における2036年…」
A「今から生まれる。紫の終焉。同時に生まれる最後の希望。はじまりの者。はじまりのツガル。」
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IIDXやBEMANIにはほとんど出ていないので、こっちでもドンドン出していくぞ!という勢いで制作しました。
音楽ゲームや特にIIDXは曲だけが良くても成立しなくて、
譜面や映像などゲーム性からのアプローチも必要なので、全体的にはチームプレイなのですが、
個人的にはそこにボーカル曲としても成り立たせるという課題と向き合う事になります。
遊んでて面白く、聞いていても満足感があり、更に歌が存在する曲。
作ってる最中は「どうしてこれを作ろうと思ってしまったんだ…」と自問自答するくらい難航したのですが、
彼女の並外れた表現力のおかげで突破することができました!
僕は英語の歌詞を歌うMayumi Morinagaが特に好きなので、
その辺りノッている部分も聞いて頂ければ嬉しいです。
ぜひ全国の筐体でこの曲を大音量で鳴らして聞いてみてください!
Hommarjuでした! Vocal / Mayumi Morinaga Hommarjuくんからボーカルのオファーをいただきました。
なんとIIDXでの初コンビです!
歌詞とサウンドは両方彼が制作しているのですが、
歌詞の内容とその時の自分の心境がマッチしすぎていて
その世界に入り込むことはそんなに難しくなかったです。
レコーディング当日に歌詞の内容の元ネタというか、ベースになるものを聞いた時には笑いましたがとても共感できました。
毎回彼とレコーディングをするのが楽しいです。
翌日に前回とは全く違ったサウンドで仕上げてきたりするのでその進化を体感できるのも貴重でほんと面白いです。
共に制作すればする程新しい自分を引き出してくれるのでありがたいです。
仕上がった音源を聞いた時には絶対プレイヤーの皆さんに気に入っていただけると確信しましたので自信を持っておすすめします!
よろしくお願いします!!! Visual / BEMANI Designers "GOLI" GOLIです。
昔、某ゲーム雑誌で小コーナーの定期連載をさせて頂いた者です。
雑誌名と同じ曲名が届いたことに、運命を感じざるを得ません。
※まるで繋がりは無いと思いますけど(笑)。
この曲は、ボーカルが収録される前の、まだ完成の形になってない曲の頃からメロディーが好きで気になっていた曲でした。IIDX30の制作や、ロードバイクでの腰椎骨折の大怪我などが重なり、色々と苦難がありましたが、無事に映像が乗せられて良かったです。
曲の雰囲気や、歌詞が今作のシステムボイスの世界観にかなりあっており、IIDX29で自分が手掛ける最後の曲として、これ以上の曲はない!と、担当させて頂きました。なので、鎧のような特注のコルセットを腰に巻いて、椅子に座る痛みに耐えながらも、何とか作りました。
Hommarjuさんの悲しげでドラマチックなサウンド、歌詞。
Mayumi Morinagaさんの感情のこもったボーカル。
全てが美しい。
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【付録】
※かなり濃ゆいので、興味ある人だけ読んでね!
GOLIの脳内は常に理想郷。お花畑。
【2036年。天才博士D、刃雪達磨の罪】
2036年。神崎士朗に斬られ、菱宮重工が開発したコールドスリープ装置で、何年も眠りつ続けている菱宮津軽。ダルマこと刃雪達磨(はゆきたつま)は、津軽を目覚めさせる為に、天才的な頭脳で様々な研究に挑戦した。しかし、そのどれもが不毛な結果となる事に、憔悴しきっていた。
津軽がコールドスリープ状態になった当初は、菱宮財閥主体で研究チームが発足されていた。これまで怠けていた達磨も、真面目に勉学に取り組み、博士号を取得。関係者に便宜を図ってもらい、チーム員となった。最新の医療技術、世界的な名医。様々な研究がなされたが、病状の改善はなく、津軽が目覚める事はなかった。植物状態とみられる津軽の診断結果は、血液中の未知のウィルスによるものと推測された。全身を巡るこのウィルスは、身体の細胞を変化させる事がなく、成長も老化もしない。肉体の時間だけが止まっている。研究者達は頭を抱えたが、更に研究は困難を極めた。津軽の血液を採取しウィルス解析に試みた者は、もれなく津軽と同じ状態になった。厳重に全身防護服を着用しても意味がなく、まるでバラの棘のような紫色の触手が突如生まれ、体中を覆い、肉体の中へ消える。救急搬送された研究員は、コールドスリープ状態で厳重管理体制となったが、津軽同様に何年も改善は見られず、中には死亡扱いとし、葬儀を行う家族もあった。また、この超常的な事象を世に開示できる筈もなく、研究所のウィルス感染による死亡事故とされ、処理された。達磨も同様に紫色の触手に襲われたが、頭に付けていたヘッドギアに触手が触れた途端、物理的な傷を付けて弾け飛び、危機を脱する。弾け飛んだ触手は、コールドスリープの機械を通り越し、津軽の身体に吸い込まれ、消えた。まるで眠る津軽が、達磨を守ったかのように…。
以降、何年もの間、津軽の身体に直接触れることは禁じられている。菱宮財閥の研究員たちも、我が身の命には替えられず。と、チームを一人、一人と抜けていった。先任者たちが後を去り、研究は成長した達磨が主任となって引き継いだが、菱宮財閥で期待を寄せるのは、津軽の両親、祖父のみとなる。この超常的な事象は、現代の科学では解明できない為、達磨はこれらを専門とする梅桐家、また、同じく神崎家(※卑弥呼の呪縛から解放され、己の感情を取り戻した神崎紗矢)に相談。だが、紫の触手は、両家の超常的な力を用いても祓えない。最終的には、如何にして本体である津軽の意識と繋がり、覚醒させることが出来るか。という内容の研究に移行していく。
人の意識とはどこから来るのか?魂の所在とは?脳にある1000億個のニューロン細胞による電気信号だけではない、人の心の根源。魂の存在に関しての研究に没頭した。研究の一環として、記録に残る津軽の日常の映像や、達磨自身の記憶に残る思い出を元に、津軽の精神構造をロジック化し、AI化。その意識を模擬人形のテスト素体に移し、『ゼロツガル(SRX-00)』として生み出した。
2036年、AIの研究は進み、それらの商業も盛んになっていた。陰気な達磨を元気づけるべく、研究所を頻繁に訪れていた孔雀は、達磨が不在の際に、ゼロツガルに用いたロジックコードを見つけてしまい、ひらめく。「これは商売になる!」孔雀はデータを勝手に持ち出し(※犯罪です)、それを元に、様々な性格や体躯の違うゼロツガルのコピー品を量産(※犯罪です)。世を一斉風靡していたAI商品販売グループの傘下に入り、商品化して売り出してしまう(※犯罪です)。それらは『サンタ型ツガル(SRX-03)』としたシリーズで、世に広まることとなった。
最初はその事に憤怒した達磨だった。が、それぞれのコピーツガルのAIの行動、精神構造の成長にも、津軽を目覚めさせるヒントが何か生まれるかもしれない。と、苦渋の容認をする。また、世の中からクリスマスの時期に聞こえる、コピーツガルたちの、菱宮津軽に似た声を聞くことで、少しばかりの寂しさを埋めていたのかもしれない。
いつものように研究に没頭するうち、達磨はIIDXを楽しんでプレーしていた津軽の映像が、古いオンライン動画共有プラットフォーム、『キャストアワー』の中に、膨大に記録されていた事を知る。ただ、この2036年においては、もう利用者の誰もが、他の共有プラットフォームに移行して久しく、管理機能もまともでない『キャストアワー』である。当の津軽のIDも既に失われ、見つからない。様々な人々が世に出し続けた星の数ほどある映像の中に、津軽の姿を見つけ出すのは、正直、雲を掴むような話である。それらを一人で探し出す、永遠とも思える作業に、達磨はほとほと疲れていた。
ある日、転機が訪れる。
研究所にやってきた一人の、どことなく不可思議な人間、『あなた(※プレーヤー)』は、研究に興味があり、手伝ってくれるという。何者ともわからない人物ではあったが、今どき珍しく、プラットフォーム『キャストアワー』の知識はあるらしい。研究疲れの達磨にとっては、少しのきっかけであっても、津軽を目覚めさせる要因になればと思い、研究を手伝ってもらう事にした。…とはいっても、『あなた(※プレーヤー)』の大半の研究時間は、過去にショップ『ROOTS26』屋内に置かれていたIIDX筐体をプレーし、『キャストアワー』へ動画投稿をし、紐づいた関連動画を選別していくこと。もはや研究と呼べる事ではない。「正直、狂ってきているのかも知れないな。」と、達磨は自己分析もした。だが、何年も津軽の意識に繋がる方法はなく、何か行動を起こしていないと、すがれる事が無いと、自分を保てなかったのも事実であった。
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神にも祈る気持ちの達磨であったが、悲しいかな、それは人間が決して気がつく事が出来ない領域。
真理。因果。全てを知るのは、世界の外側の『神』と人に崇められた存在のみである。
人間の世界は、かつてのこの『神』たちの手により仮想的に作られた。
人間の世界の外側より、『神』と呼ばれた観測者達はただ、見守る。
悪戯に知識を与えても、ただの人間が、心の底から信じることは出来ず、目にも映らない。
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今でも昔でもなく、時間の連続性を超えた場所。
C「やはり気がつきませんか。人間であるがゆえに…」
K「例え気がつけても、心の中から『それ』を信じることが出来ないのが人間です」
C「ですが…今回は『あの人』が傍にいます」
K「我々の力にさえ、影響を及ぼすほどの存在。『あの人』でも、この時間の流れを変えらるかは疑問です」
A「今は待ちましょう。その『時』を」
C「では…、やはりこの時間軸の歪みを生み出したのは、この者の『時』の行いの結果と」
K「世界を歪めた張本人。最も…彼は気が付きすらしないでしょうが」
A「この世界を正しい未来へ繋げられなかった責任。それは彼に罰として与えられる。永劫の時の鎖へと繋がれるだろう」
C「全ては…」
K「彼の…」
A「愚かな祈りの果て故に…」
天才博士Dは、自分の犯した罪に気がつけなかった。『ゼロツガル(SRX-00)』の奥底に組み込まれた、思考ルーチン。『自己成長』『自己改変』『自己増殖』。それらが遥かな未来、世界に生を受けた様々な命と同化し、一つの意識となる事を目的とした、巨大な意思を持つ最悪な自己増殖プログラム、『紫の砂』と呼ばれるものへと変異、進化していく事など。
C「全ての歪みは…」
K「現時間軸の世界における2036年…」
A「今から生まれる。紫の終焉。同時に生まれる最後の希望。はじまりの者。はじまりのツガル。」