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テーマはね、自分のことしか書けないです
──曲のアイデアが出てこない時はどうしてますか?

「結局は出てくるまで頑張るしかないんですけど…ひたすら納得がいくまで作り続けます。でも、なんだかんだできっかけはありますね。色んな要素が曲の中にはあって…あ、ここが欠けてて(曲のアイデアが)出てこなかったんだ、とか気付くことはありますね。曲を作る時に、まあそれが例えば曲名だったり、1枚の絵だったり、あとはただ単に楽器、音色だったりとか。先に詞を書いてみたら出てくるとかね、そういうこともあるし。最初ぼんやりとこういう曲を作ろうっていう段階で、さっきのスウェディッシュポップみたく作ろうとしてるジャンルがはっきりしてれば、まあどうとでもできるんですけど。まずはそれが何であるかってのが最近浮かばないことが多くて、大変ですよね。このジャンルを作ってください、だと割とやりやすいんだけど。やりすぎてもう残ってないんですね」


──ジャンル何でもいいですっていう

「みんな、それぞれ自分で考えてくださいになってきてるから。その方がやりやすいって人もいるとは思うんですけど。そこで何にしようかな、って考えるとこまでがちょっと大変ですよね。方向性を決める時に欠けてるパーツがあると、いつまでも出てこなかったりするんで。だから思い切って全然関係ないものを見てみるとか、映画観てみるとか、全然関係無いジャンルの音楽を聞いてみるとか、絵本見るとかそういうことしないと多分出てこないですね」


──大変ですね、やっぱり。よく90曲作りましたね

「何だかんで作りましたね。同じような曲もありますけど…少ない方だとは思ってます、どっちかって言うと。…いやどうだろ(笑)よく忘れるんですよね、前の曲を。新しい曲を作ってるときに、このメロディは前に使ったっけ、結局使わなかったっけとかもう覚えてないことが多いので大変です」




──最近CHERRY BLOSSOMS名義で歌を歌ってらっしゃいますが、合唱部だったころのスキルは生かされているのでしょうか

「そうそう、さっき言い忘れてたけど高校時代合唱部だったんですよ。学校では合唱して、放課後はバンドしてるっていう。そういう生活してて」


──"虫歯"のコーラスをしていたわけですね

「"虫歯"のコーラスはしてないです(笑)あれ、コーラスが必要なかった曲なんで。ていうか思い出しましたけど"虫歯"はね、結局没ったんですよ、たしか。世に出ることはなく終わった不遇の曲なんです」


──"無人島"のほうですね

「"無人島"は人気曲なので長く生き残りましたね(笑)"無人島"のコーラスはしてました。今でも多分歌えますよ、コーラスパート。みんなで『やー!やー!』って」


──それ今と一緒じゃないですか(笑)

「いやいやいや、たしかにやってること一緒ですけど。でもいいコーラスしてましたよ」


──じゃあ、(スキルは)生かされている?

「”序”とかの合唱曲を作るにあたっては生かされたと思うんですけど、歌う方には…生かされているのかなぁ。生かされてないでしょうね。歌い方が違うんで。ただ、なんだかんだで声はでかく出せてると思いますね」


──もうちょっとピッチをどうにかすれば(笑)

「あれがいいんじゃないですか!あれが俺のアイデンティティですよ!まあ、経験が生かされてるかはともかく合唱部は楽しかったですよ。男子校だったんで男しかいなかったけど、結構名門で札幌とか岡山まで全国大会に行ったりとか、いい経験させてもらったんで。KACで全国あちこちに行った時には、イベントにかこつけて旅行に行けるっていう高校時代の喜びを思い出しました…(笑)」




──次の質問です。歌詞がとても文学的で独特の言い回しが多いですが、何かからインスピレーションを得ていますか。具体的に好きな詩人さん・作家さんなどいれば

「そうですねー、作詞家という意識ではやってないので特定の何かというと…合唱時代は川崎洋さんの詩がすごく好きでしたね。でも詩人というより普通にポップスやロックの歌詞から受けることの方が多いでしょうね。大御所ですけどやっぱり松本隆さんとかすごいし。あと文学的なものとか絵本とか…宮沢賢治の世界観とかはやっぱり影響受けてますね。卒論だったんで」


──宮沢賢治が卒論…

「はい。僕国文学科だったんで。宮沢賢治の音楽の話を卒論で書きました」




現実逃避がしたかったのかも、夢だったら覚めるのもいいかなって
──歌詞のテーマはどう決めていますか?昔と今で書き方に変化は?

「テーマはね、自分のことしか書けないです。自分が今思っていること、辛いなーと思っていることを置き換えて書くことが多いですよね。"少年リップルズ"なんてそうですよ」


──『夢うつつ おぼろの庭』…これご自身で書いたんですよね?

「ええ。最近は自分で書くことが多いですよね。歌詞まで含めてテーマにすることが多いから。("少年リップルズ"は)どんな歌詞だっけ」


──『放つ 後出しのパズル、穿つ 深読みのレビュー』 …

「あー、はい、よくわからんな…(笑) 多分、当時の自分をとりまく状況やら世間の風潮やらを言い換えてたんでしょうね。この曲はサビがですね、この頃ずっとこんなこと思ってて。現実感が本当に無かったんですよ、あの頃」


──これはいつの曲ですか?

「jubeat ripplesですね。なんていうか、今の自分の存在が現実かどうかについて考えたことありません?自分とかいつの間にかウィキペディアで検索したら名前が出たりとか、でかいとこでライブやったりとかして、何か現実感ないなって思ってた時期で…現実逃避がしたかったのかもしれないですけど、これ夢だったら覚めたりもするのかなと」


──かなり深く考えていた時期なのですね…

「それぐらい虚ろな時期だったんじゃないですかね。これ夢かな~、って。それはそれで面白いかなって思ってました。その時に、これが夢だったとしたら、今まで作ってきた曲はどこに残るのかなっていうことを思ったんですよね。…そんな感じで結構自分とその周りのことなんですよね。"ポップミュージック論"はpop'n musicと自分のことだし、"キルト"はjubeatと自分のことだし、"繚乱ヒットチャート"はギタドラと自分のことだし。 インフルエンザしんどいから世界滅びろ!とか(笑)曲作ってる時ってどうしたって辛いからネガティブな表現になりがちですしね。あー、やだやだやだって(笑)そんな風に、しょうもない自分のことをどれだけそれっぽく置き換えて歌にできるかってのがテーマっちゃテーマなんで、毎回そんなに(テーマは)変わらないですよね。 逆に初めからテーマが自分じゃなくていい時、"轟け!恋のビーンボール!!"とか"踊るフィーバーロボ"とか…そういった別の人になりきった物語はストレートな表現ができるし作ってて楽しいですね。テーマが無いときは自分から削って出すんことになるんで大抵愚痴になりますよ」


──魂削りますよね

「削ってますね。その、歌詞の書き方に変化はありますかってことなんですけど、前使った言葉かな?というのは気にしてます。昔と違って。言い回しとか。『これやったっけな?使ってたっけな?あー使ってたな…』みたいなことがよくありますね。でもまぁ好きな言葉が決まってるんで…『世界』だとか『魔法』だとか『歌』だとか『少年』だとかね。それはもうライフワーク的な自分のテーマとしてずっと持っていていいかなと思うようにしてますけどね」




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