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グリム・ユウ1回目A

クサビを追ってホッカイに辿り着いたラスクたち。
ライトアップされた氷の城と熊の像が彼らを出迎える。

ラスク
「へぇ……ここがホッカイなんだ。
 過ごしやすい気候みたい」

シャロン
「ええ、そのようですわね。
 空気が心地良く感じますわ」

アカデミーと通信状態のグリモワールから、サツキの声が響く。

サツキ
「ねえユウ?
 ホッカイはジャガイモとカレーが
 有名らしいの」

ユウ
「サツキ先生……
 それ、遠回しにお土産を要求してる?」

サツキ
「いいじゃない。
 そっちの名産品、興味あるんだもの」

ユウ
「もう……わかったよ」

ラスク
「なんかふたりともあんまり
 緊張感ない感じ?」

シャロン
「まったくですわ。
 クサビの近くですし、エボルグリムも……」

ユウ似の少女
「あー! 見つけたよ、ニセモノさん!」

ユウ
「ニセモノ……って、え?」

サツキ
「ユウをモデルにした
 エボルグリムみたいね……」
「でもちょっと待って。
 あのすぐ横に浮いてるのって」

サツキに似た女性
『うふふ……
 あっちのユウもとぉっても可愛いわ』

シャロン
「もしかしてサツキ先生の
 エボルグリムですの?」

ユウ
「でも、あっちのお姉ちゃんは
 なんか幽霊みたいだよね」

サツキ
(ユウはあの姿の私を、
 どこかで覚えているのかも。
 それがエボルグリムに影響しているのね)

ラスク
「グリムのユウは完全に女の子って感じ。
 性格だけじゃなくて性別も反対っぽいよ」

シャロン
「確かにユウさんは
 可愛らしい方ですが……」

サツキ
「そうよね、ユウは可愛いわよね」

ユウ
「お姉ちゃん!」

サツキ
「あはは……ごめんなさい」
「でも、あのグリムの私も
 倒せる方法はあるはず。
 私もなにか考えて――」

ユウ
「大丈夫だよ。
 本当の『ニセモノ』は、
 僕がやっつけるから」

サツキ
「そ、そう? でも……
 あの幽霊みたいな私は……」

サツキに似た女性
『幽霊だなんて失礼だわ。
 この姿なら、いくらだって
 ユウの側にいられるのよ?』

ユウ似の少女
「そうだよそうだよ! さすがお姉様!
 だからお姉様って大好き!」

サツキに似た女性
『でも私、オトコノコのユウも気になるの。
 ごめんね』

ユウ似の少女
「……ん?
 なにか変なこと言わなかった、お姉様?」

サツキに似た女性
『ねぇ、少しでいいから
 こっちのユウとそっちのユウ、
 取り替えっこしないかしら?』

ユウ似の少女
「えぇっ!」

ユウ
「えぇっ!?」

シャロン
「あのグリム、自由過ぎませんこと?」

サツキ
「本当に私なのかしら……
 解せないわ」

ラスク
「二人セットって感じじゃないんだね……」

ユウ似の少女
「許さない……許さない許さない許さないッ!
 お姉様の愛を受けるのはわたし!
 私だけなんだから!」

ユウ似の少女は突如激昂し、魔法のようなものでユウに攻撃を放つ。
その表情は先ほどとはまるで違うほど恐ろしい形相であった。

ユウ
「いきなり何するのさ!?」

ユウ似の少女
「だって、お姉様の一番はわたしだよ?
 それがわたしと取り替えっこ?
 絶対絶対絶対絶対許せないッ!」

ユウ
「……そんな風に依存してたら、
 いつまでも自分のことを自分で
 決められないままだよ?」

ユウ似の少女
「知ったことじゃないわ!!」

ユウ
「お姉様お姉様って、それじゃキミは
 お姉ちゃんのおもちゃみたいじゃないか!
 それでいいの!?」

ユウ似の少女
「お姉様は私の全て。私のいる理由。
 それをあなたは馬鹿に馬鹿に馬鹿に
 馬鹿にしてぇ!!」

サツキに似た女性
『あら、これって兄妹喧嘩かしら?』

サツキ
「よく考えればわたし……あんまり
 ユウとこういう喧嘩したことないかも」

シャロン
「冷静に言っている場合じゃありませんわよ。
 二対一ではユウさんが不利ですわ。
 ラスクさん、助けに行きますわよ!」

ラスク
「うん、行こっか。放っておけないしね」

ユウ似の少女
「あなたが許しを乞うまで、更生してやる!
 私の……愛で!」

ユウ似の少女は瘴気を纏って巨大な半透明な体をした流氷の天使のような姿に変貌をとげる。

ユウ
「押し付けがましい愛なんて
 ごめんだから!」

ユウ似の少女
「そう言っていられるのも今のうちだけ……
 すぐにお姉様がいかに素晴らしいか
 わからせてあげる!」

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