Biography
- 2013年07月12日凛よ。
バビルサは私も好きよ。
でも、レコード屋。
あれは角では無く、牙なのよ。
貴方は知らないかもしれないけれど
バビルサの牙は弧を描くように成長するの。
その行きつく先は、自分の頭蓋だわ。
立派な角を持っていないと雌を獲得できず子孫が残せない。
でも、牙が立派なほど自分の死への危険性が高くなる。
…なんて美しいジレンマなのかしら。
常に死に向き合って生きている動物なの…。
まさにメメント・モリね…。
凛 - 2013年07月17日凛よ。
私も聴いたわ。
今日は学校が早かったから、帰ってからずっとお家にいたの。
夕方くらいかしら?
レコード屋の二階からジャズを演奏する音が聴こえてきたの。
すぐにお父さんが私のところにきて
『あれは、山形達のバンドの音だな。昔は本当に嫌だったが、今こうして聴くと悪くはないかもな。まあ、私もすっかりお前達に影響されたのかもしれないが…』
って言っていたの。
そのうちに喫茶店が言うようにギターの音も聴こえはじめて
その時、お父さんが気になる事を言ったの。
『あれはタチバナのギターだ。あいつは戻ってきたのか?』
って…。
タチバナってあなたのお父さんの名字だったわよね?
それと、この名前はもう1人聞き覚えがあるわ。
…偶然の一致とは思えないわね。
凛 - 2013年07月18日凛よ。
洋服屋。滅びにも色々あるの。
レコード屋のスイーツ通知表など私の滅びの美学に値しない
無価値極まりないものだわ。
せいぜい貴方が慰めてあげることね。
以上。
凛 - 2013年07月22日凛よ。
あのポスターは駄目…。
商店街のどこを見ても私の顔があるなんて
どう考えても耐えられないし、む、無理よ…。
残らず滅ぼしておくわ…。
凛 - 2013年07月23日凛よ。
はんこ屋が持って来たのは
クーラーじゃなくて冷風機よ…。
あの機械は冷風と熱風を同時に吐出するものなの。
はんこ屋は知恵を振り絞って考えたようだけれど
熱風側を幾ら私に向けても、貴方の愚昧な要望には
答えられないわよ。
凛 - 2013年07月26日凛よ。
多くは語らないわ。
私はベストを尽くして望むつもり。
今日のリハーサルは本当に良かったわ。
バンドって…良いものね本当に。
それは貴方達と一緒だからかもしれないわ…。
す、少し照れくさいけど、正直な気持ちを言う事も
たまには、良いかもしれないわね…。
でも、はんこ屋の昨日の温泉センターにおける蛮行に関しては
ライブが終わり次第、厳しい審判を下すから
貴方、新しい自転車を視野に入れておきなさいね。
凛 - 2013年07月28日凛よ。
喫茶店、本当に良かったわね。
以前、喫茶店が落ち込んでいた時から
この事についてはずっと気にかけていたの。
貴方は本当に良い子だから…
だから…決して曲がって欲しくは無いとずっと思っていたの。
…レコード屋の性格が少しうつったのかしらね。
自分がお節介をされるのも、他人にお節介を焼くのも
私は、どちらも本当に嫌いだったのに。
なのに…今、喫茶店の書き込みをみて心から安堵しているし
なんていうか、こう、初めての気持ちなの…。
と、友達が幸せになるって、こんな気持ちになるのね…。
そ、そそんな事よりもはんこ屋よ!
貴方、元気がいいのは良い事だけれど
蛮行の件で審判が下るのを忘れてないわよね?
ライブが成功したからって帳消しになるわけでは無いのよ。
凛 - 2013年08月01日凛よ。
貴方達の通俗にまみれた考えには賛同できないわ。
海に行くのは良いけれど…
私は貴方達とは違って、絶対水着は着ないから。
ぐ、愚昧な衆目に私の肌を晒す必然性なんて全く無いのよ…。
私は、貴方達の横で日焼けしないようにして
ビーチチェアで静かに座っているわね。
そうね…。
波の音を聞きながら青のフェルマータを読むとかいいわね…。
凛 - 2013年08月03日凛よ。
何故…私までなのか分からないけど…
今日はレコード屋の家で
みんなでテレビアニメを観ているわ…。
レコード屋と喫茶店は食い入るように観ているし
洋服屋も意外に好きなよね、真剣な顔で観ているわ。
はんこ屋はさっきからバルスめうーっと五月蝿いわ…。
貴方、それを言うのはまだじゃないかしら。
それと、バルスすべきは貴方の自転車よ。
そうね、オープニングテーマの最初の和音は
この間練習の時に教えた
フォースインターバルビルドだから。
貴方達はちゃんと覚えておきなさいよ。
って、テレビに夢中で全然聞いてないけれど…。
凛 - 2013年08月04日凛よ。
はんこ屋の父親については
以前、私のお父さんも話していた事があるわ。
倉野川の兎月堂といえば、知る人ぞ知る有名な店で
店主は財界や政界にも繋がっている、と言っていたわ。
私は、その時はオルレアンの噂のような
閉鎖的な田舎の街につきものである
低俗な都市伝説の類としか思っていなかったわ。
昨日、図書館で貴方達が宿題をしている時に奥の書庫に行って
郷土資料や歴史貴重資料を少し読んでいたのだけれど
戦国時代から兎月堂宗久という名前がしっかり記されていたの。
城下一里ニ日向美郷ノ兎月堂アリって。
なんでも、その頃にこの辺を統治していた尼子という殿様に
かなりの待遇を受けていたようね。
おそらく…これははんこ屋の祖先ではないかと思われるわ。
そう言われてみると
去年はこの辺りで有名な戦国武将山中鹿之介の愛刀
半月丸や新身国行も展示していたわね。
その時は本物とはこれっぽちには思わなかったけれど
それもあながち贋作ではない可能性が高いわね…。
でも、これほど歴史に名を残す家系の末裔が
懲りずに愚昧な蛮行を繰り返す、あのはんこ屋だとは
これっぽっちも思えないわ…。
凛