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グリム・リエル1回目A
メディア似の少女を封印したグリモワールに表示された形代の謎を追って、マヤたちはヨコハマーを訪れていた。
マヤ
「ヨコハマー……ここが集合場所なのよね?」
リック
「ああ、ムジナとイナリはこの近辺で生活しているらしい」
メディア
「わー、見て見て! 海! それに船!」
リエル
「メ、メディアさん!
あんまりはしゃぎすぎては駄目ですよ!」
リック
「リエルの言うとおりだ、メディア。
まもなく時間になる。二人が来るはずだ」
集合時間が近づき、暁の賢者たちの前に約束の相手が姿を現す。
ムジナ
「集合時間よりずいぶんと早いですね。
さすがはマジックアカデミーの魔法使い」
イナリ
「ふっふーん。やっほー、魔法使いたち。
こんなに早くトーキョーに戻ってくるなんてねー。
元気してた? 今日は用があるんでしょ?」
ムジナとイナリ、かつてトーキョー世界に存在していた瘴気を源とする術「陰陽」を使う従兄妹術師である。
以前にトーキョーで起きた瘴気発生事件は、陰陽の研究を進めるうちに瘴気に精神を侵されたムジナによるものだった。
暴走したムジナをアカデミー生徒たちが打ち破ったことにより事態は収束し、
正気を取り戻したムジナは現在ではイナリと共にアカデミーの協力者となっている。
メディア
「わーイナリちゃんだー。
二人こそ元気だったー?」
リック
「早速で申し訳ないが、専門家であるお前たちに意見を聞きたい」
ムジナ
「簡単な概要は聞いています。
この世界を蝕む瘴気に新たなグリムの出現。それが陰陽に関わるものだと」
リエル
「そうなんです。メディアさんに良く似たグリムをグリモワールに封じることに成功したんです。
その時に表示されたのが……」
メディア
「うん、これなんだけど……」
イナリ
「形代……っぽい?
瘴気の残り香みたいなのを感じるかも」
ムジナ
「確かにこれは形代に見えます。
イナリの言うことも気になりますし、少し借りて詳しく……これは!?」
マヤ
「何かわか――っ!?」
不意に走った地響きと覚えのある気配に暁の賢者たちは息を呑む。
メディア
「この気配、知ってる!
もしかして近くにクサビがあるの!?」
リック
「こんな近くでクサビの設置に気付かないとは……っ!」
歯噛みするリックたちの近くにいくつもの雷撃が降り注いだ。
シャロン似の少女
「おーっほっほっほ!
まあーったく、ひとりやられたからと出てきて見れば、しょーもないおバカさんばかりですのね!」
リエル
「え……? シャロンさん?
別のクサビの調査に向かったはずでは……」
メディア
「違うよ! あれがグリムなの!」
シャロン似の少女
「クサビを守るだけなんて退屈だと思っていましたの。
ですから……わたくしと遊んでくださいます?
少しばかりの退屈しのぎにしかならないでしょうけど」
シャロンに似た少女は再びいくつもの雷撃を浴びせかける。
シャロン似の少女
「おーっほっほっほ!」
ムジナ
「あの魔法のような攻撃……陰陽の力か?
ということはあの形代……」
イナリ
「兄様! ぼーっとしてたら危ないです!」
ムジナ
「……すまない、イナリ。僕たちは少し下がろう」
リエル
「シャロンさんの姿をしているなんて……絶対に許せません!」
憤慨したリエルが攻撃魔法を放つが、少女は軽く跳躍してそれをかわした。
シャロン似の少女
「当たりませんわ! とぉ!」
「まったく手応えがありま――きゃうん!?」
メディア
「あれ、転んじゃったけど……チャンス?」
シャロン似の少女
「……っつ……や、やらかしましたわ……」
リック
「いくぞ! はぁっ!!」
体勢を大きく崩しているその隙を狙ってリックは魔法を発動させる。
???
「まったく、困ったマスターですね」
転んでいる少女に到達する前に、発動した魔法は打ち消されてしまった。
メディア
「あれ……メイドさん?」
リエル
「……もしかして私、ですか?」
リエル似の少女
「油断大敵ですよ、マスター。ただでさえ隙だらけなのですから」
シャロン似の少女
「やかましいですわよ!
それなら最初からサポートするのが、従者の役目ではありませんのっ!?」
リエル似の少女
「……ああ、そうでした。
ですが、わたくしに任せなさいと豪語していましたので」
「今のは自業自得というところでしょうか」
シャロン似の少女
「……あ、あなたねぇ……」
リエル似の少女
「早く体勢を立て直していただけますか。
そうですね……時間稼ぎくらいは任されましょう」
淡々と話すリエル似の少女は静かに瘴気を纏って巨大なドーベルマンへと姿を変える。
イナリ
「あのグリム、私たちに瘴気が憑依していた時とは全然違う……
なんていうか、とても恐い感じがする!」
巨大ドーベルマン型グリム
「私が守るべきはクサビだけではありません。
残念ながらこのマスターも含まれている……」
「ですから、あなた方を処理します」
マヤ
「ヨコハマー……ここが集合場所なのよね?」
リック
「ああ、ムジナとイナリはこの近辺で生活しているらしい」
メディア
「わー、見て見て! 海! それに船!」
リエル
「メ、メディアさん!
あんまりはしゃぎすぎては駄目ですよ!」
リック
「リエルの言うとおりだ、メディア。
まもなく時間になる。二人が来るはずだ」
集合時間が近づき、暁の賢者たちの前に約束の相手が姿を現す。
ムジナ
「集合時間よりずいぶんと早いですね。
さすがはマジックアカデミーの魔法使い」
イナリ
「ふっふーん。やっほー、魔法使いたち。
こんなに早くトーキョーに戻ってくるなんてねー。
元気してた? 今日は用があるんでしょ?」
ムジナとイナリ、かつてトーキョー世界に存在していた瘴気を源とする術「陰陽」を使う従兄妹術師である。
以前にトーキョーで起きた瘴気発生事件は、陰陽の研究を進めるうちに瘴気に精神を侵されたムジナによるものだった。
暴走したムジナをアカデミー生徒たちが打ち破ったことにより事態は収束し、
正気を取り戻したムジナは現在ではイナリと共にアカデミーの協力者となっている。
メディア
「わーイナリちゃんだー。
二人こそ元気だったー?」
リック
「早速で申し訳ないが、専門家であるお前たちに意見を聞きたい」
ムジナ
「簡単な概要は聞いています。
この世界を蝕む瘴気に新たなグリムの出現。それが陰陽に関わるものだと」
リエル
「そうなんです。メディアさんに良く似たグリムをグリモワールに封じることに成功したんです。
その時に表示されたのが……」
メディア
「うん、これなんだけど……」
イナリ
「形代……っぽい?
瘴気の残り香みたいなのを感じるかも」
ムジナ
「確かにこれは形代に見えます。
イナリの言うことも気になりますし、少し借りて詳しく……これは!?」
マヤ
「何かわか――っ!?」
不意に走った地響きと覚えのある気配に暁の賢者たちは息を呑む。
メディア
「この気配、知ってる!
もしかして近くにクサビがあるの!?」
リック
「こんな近くでクサビの設置に気付かないとは……っ!」
歯噛みするリックたちの近くにいくつもの雷撃が降り注いだ。
シャロン似の少女
「おーっほっほっほ!
まあーったく、ひとりやられたからと出てきて見れば、しょーもないおバカさんばかりですのね!」
リエル
「え……? シャロンさん?
別のクサビの調査に向かったはずでは……」
メディア
「違うよ! あれがグリムなの!」
シャロン似の少女
「クサビを守るだけなんて退屈だと思っていましたの。
ですから……わたくしと遊んでくださいます?
少しばかりの退屈しのぎにしかならないでしょうけど」
シャロンに似た少女は再びいくつもの雷撃を浴びせかける。
シャロン似の少女
「おーっほっほっほ!」
ムジナ
「あの魔法のような攻撃……陰陽の力か?
ということはあの形代……」
イナリ
「兄様! ぼーっとしてたら危ないです!」
ムジナ
「……すまない、イナリ。僕たちは少し下がろう」
リエル
「シャロンさんの姿をしているなんて……絶対に許せません!」
憤慨したリエルが攻撃魔法を放つが、少女は軽く跳躍してそれをかわした。
シャロン似の少女
「当たりませんわ! とぉ!」
「まったく手応えがありま――きゃうん!?」
メディア
「あれ、転んじゃったけど……チャンス?」
シャロン似の少女
「……っつ……や、やらかしましたわ……」
リック
「いくぞ! はぁっ!!」
体勢を大きく崩しているその隙を狙ってリックは魔法を発動させる。
???
「まったく、困ったマスターですね」
転んでいる少女に到達する前に、発動した魔法は打ち消されてしまった。
メディア
「あれ……メイドさん?」
リエル
「……もしかして私、ですか?」
リエル似の少女
「油断大敵ですよ、マスター。ただでさえ隙だらけなのですから」
シャロン似の少女
「やかましいですわよ!
それなら最初からサポートするのが、従者の役目ではありませんのっ!?」
リエル似の少女
「……ああ、そうでした。
ですが、わたくしに任せなさいと豪語していましたので」
「今のは自業自得というところでしょうか」
シャロン似の少女
「……あ、あなたねぇ……」
リエル似の少女
「早く体勢を立て直していただけますか。
そうですね……時間稼ぎくらいは任されましょう」
淡々と話すリエル似の少女は静かに瘴気を纏って巨大なドーベルマンへと姿を変える。
イナリ
「あのグリム、私たちに瘴気が憑依していた時とは全然違う……
なんていうか、とても恐い感じがする!」
巨大ドーベルマン型グリム
「私が守るべきはクサビだけではありません。
残念ながらこのマスターも含まれている……」
「ですから、あなた方を処理します」