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真・アヴェノセイメイA

強大な瘴気の元凶である魔法樹。
その傍らには、黒い衣に身を包んだ長身の女性の姿があった。
エボルグリムを生み出し、この世界を瘴気で満たそうとした者、アヴェノセイメイ。

セイメイ
「わらわはこれを待っていました。
 自らの身体で封じた瘴気に病んだ魔法樹。
 その解放される時を」
「ようやく……、ようやく世界が変わる時がきたのです」

イナリ
「あの人が、ご先祖様……
 瘴気で世界を満たそうとしてるの……?」

ムジナ
「みなさん、気をつけてください!」

セイメイ
「わらわの血を継ぐ子孫……」
「愛しましょう。 わらわは全てを愛します。
 たとえわらわの邪魔をしたとしても……」

アヴェノセイメイの佇まいは、その目的とは裏腹に実にたおやかだった。

ルキア
「ねぇ!
 あの人、悪者なんだよね!?」

アロエ
「あんまりそんな風には見えないけど……」

タイガ
「なんや、まるで女神様みたいな雰囲気やん……」

セイメイ
「女神ですか……褒められると照れてしまいますね」
「わらわは賢族――アヴェノセイメイ。
 この世界の管理者のようなものです」

サンダース
「賢族……? 聞かん言葉だが、管理者とは大層なことだ。
 だから世界を自分の自由にしようというのか!」

アイコ
「そうだよ! 許せないぞー!」

セイメイ
「違います。わらわが行う全ては、あくまで人の幸せのため……
 誰もが苦しまない世界のためなのです」

ユウ
「よくわかんないけど、こんな風に瘴気を広めるなんて、絶対駄目なことだと思う!」

セイメイ
「わらわはかつて、狂ってしまった世界樹を抑えようと、
 瘴気を利用した術式『陰陽』を造りあげました」
「しかし、徐々に魔法樹が放つ瘴気の量は増え、やがて陰陽による消費もかなわなくなり、
 わが身ごと封印せざるを得ませんでした」
「永き封印の間にわらわは思い至りました。
 瘴気を消し去ることが適わぬのなら、瘴気と共に在れるようになればよいのです」

ラスク
「何で、そう考えちゃうのさ!
 瘴気は人にとって害じゃないか!」

リエル
「瘴気に影響を受けてしまったのでしょうか……
 以前のムジナさんとイナリさんのように」

セイメイ
「おかしなことを言うのですね、あなたたちは。
 この瘴気は次第に人の体に馴染みます。 わらわや、わらわの子孫たちのように」
「魔法使いたち……そなたらも同じです。
 人形たちと戦う最中、瘴気に適応する力を得ているのではないですか?」

シャロン
「確かにあなたの言うことも一理ありますわね……。
 わたくしたちは形代を使い、瘴気をマナに転用しました」

マヤ
「でもそれだけじゃ、根本的な解決には……」

セイメイ
「うふふ。言っているではありませんか。 馴染む、と。
 わらわもそうして慣れました」

リック
「それが簡単であるわけがない……!」

カイル
「そもそもです、何故あなたはエボルグリムを作り出したのですか!?」

セイメイ
「己の施した封印を解くためには駒が必要でした」
「年月により効力が弱まりつつあったとはいえ、
 封印の内側より外界に干渉するのには限界がありますからね。
 そして何より……」

「瘴気によって生まれたわらわの子が、人と成れるのか。
 それを確かめたかったのです」
「瘴気に立ち向かう手段を持つあなたたち魔法使いは、良き参考となりましたよ」

ヤンヤン
「そんな勝手な理屈でやつらを作ったアルか! 迷惑千万アル!」

シャロン
「グリムといえど、彼らは意思を持つ人でした。
 良い者も悪い者も……その性質は違いましたが、どちらにせよ命に変わりはありません」

セイメイ
「本当に不可思議ですね。あれは偽りの命。
 重要なのは未来に種を……世界を存続させること。
 どちらが人にとっての幸福か、わかるでしょう?」

メディア
「全然わからないってば!」

アロエ
「うん、メディアちゃんに賛成! あの人、悪い人だよっ!」

セイメイ
「ああ、ああ……なんと嘆かわしい。
 この世界の者でない方々には、理解してはもらえませんか」
「ですが、わらわは許します」

ハルト
「貴様に許されるいわれはないっ! 我は覇道を行く故に!」

クララ
「覇道はちょっと意味が違うような……」

ユリ
「難しいことはともかく、ぶっ飛ばしちゃっていいってことでしょ!」

ミュー
「……はい。 それで、この世界を救うです」

マラリヤ
「緊褌一番。 そろそろ本気を出すころかしらね」

ヴァニィ
「これがラスボス戦ですねっ!
 全身全霊をかけた戦いの果てに何が待つのか!」

セリオス
「まったく、緊張感がない……。
 だが、僕たち暁の賢者らしいのかもしれないな」

レオン
「ああ、辛気臭いのはごめんだ!
 俺たちの手で終わらせてやろうぜ!」

セイメイ
「ああ、ああ……なんということでしょう。
 それが答えであるというならば、少し静かにしてもらうしかありませんね」

アヴェノセイメイは笑みをたたえたまま、暁の賢者たちに瘴気による攻撃を放つ。

セイメイ
「思い知りなさい。 わらわがどれだけこの世界を考えているか……
 そして、どれだけ愛しているかを」

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