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グリム・シャロン1回目A

エボルグリムたちが集う不可思議な空間。
今この場に立つのはグリム・シャロンとグリム・レオンの二人だけとなっていた。

グリム・シャロン
「ここも随分と静かになりましたわね」

グリム・レオン
「ハッ! その方がせいせいする。
 お前はそうでもねぇみたいだな」

グリム・シャロン
「さてどうでしょうね?」

グリム・レオン
「なんだ? しょげるのはやめたのか」

グリム・シャロン
「ええ! わたくしには、果たさねばならないことがありますから。
 オーッホッホッホ!!」

グリム・レオン
「やかましい……だったらさっさと行って来い」

グリム・シャロン
「……行くに決まってますわ。
 目的はただ一つ――仇敵を打ち倒す。
 ただそれだけ!」


~トーキョー、ナナイロブリッジ付近~
恒常的に続けられるトーキョーのパトロール。
今夜の担当はシャロンたちだった。

リエル
「シャロンさん、寒い中ご苦労様です。
 温かいお茶ですよ」

シャロン
「ありがとうございます、リエルさん。
 わざわざすみません」

リエル
「いえいえ。
 それよりシャロンさんこそ、連日の調査でお疲れではありませんか?」

シャロン
「多少は……でも、問題ありませんわ。
 今日は胸騒ぎがするんですの」

リエル
「胸騒ぎ、ですか……?」

レオン
「グリモワールに瘴気の反応は……ありゃ?
 んー、最近なんかコイツの調子が悪いんだよな……」

シャロン
「それは、この前のエボルグリムとの戦闘から――」

突如グリモワールから警告音が鳴り響く。

シャロン
「――やはり……!」

警告音から間を置かず、地響きが起こる。
暁の賢者たちにとってはすでに何度か経験しているクサビ出現時の地響きだが、
今回はこれまでよりも明らかに規模が大きかった。

レオン
「な、なんだぁ!?」

メディア
「なんなの!?」

リエル
「あそこ、見てください!
 海上に突然クサビが!」

レオン
「マジだ! どうなってんだ?」

シャロン
「エボルグリムがわたくしたちと同じ数いるならば、残りは二人。
 そしてわたくしに因縁があるのは――」

グリム・シャロン
「おーっほっほっほっほっほ!
 ご名答ですわよ、オリジナル!!」

リエル
「あれは、シャロンさんの……」

シャロン
「ええ、間違いありませんわ」

グリム・シャロン
「お久しぶりですわね、皆々様。
 素敵なパーティにご招待いたしますわ」

そう言ってグリム・シャロンは、軽く手をかざし攻撃を放つ。

シャロン
「随分な招待状ですわね!」

シャロンは事も無げに防御魔法で防ぐと、仲間たちに声をかける。

シャロン
「みなさんは下がっていてください。
 わたくしが相手をします!」

グリム・シャロン
「傲らないでくださいますッ!!」

シャロンの言葉に苛立ちを隠さず、
グリム・シャロンは高速の一撃を撃ち放った。

シャロン
「この攻撃、あの時とは……比べ物にならないッ!」

レオン
「当たったら洒落にならねぇぞ!?」

メディア
「治療……どころの話じゃないかも!」

グリム・シャロン
「ほらほら、受け取ってくれません、のッ!」

グリム・シャロンは暁の賢者たちに更なる一撃を放つ。
その軌道の先に位置するリエルが身をすくめる。

リエル
「さ、避けられません……っ!」

シャロン
「リエルさんッ!」


グリム・シャロン
「……ッ!?」

リエルを直撃するかに思えた攻撃魔法は、
直前で軌道が逸れ、あらぬところに着弾した。

リエル
「あ、当たらなかった?
 か、間一髪でした……」

シャロン
(違う……今のは、明らかに軌道が……)

グリム・シャロン
「わたくしとしたことがついつい……
 ここからは本気で行かせていただきますわ!」

グリム・シャロンが高濃度の瘴気に包まれると、
高貴さすら漂わせる巨大な蜂型のグリムへと姿を変えた。
その圧倒的な魔力に、シャロンたちは気圧される。

レオン
「なんなんだ、この力……!」

シャロン
「クサビが結界を変質させ、マナの供給スピードを上昇させているんですわ」

メディア
「よ、よくわからないけど……とにかくすごいってことよね」

グリム・シャロン
「あああああああああああ!!」

リエル
「……………………」

シャロン
「リエルさん、大丈夫ですの?」

リエル
「あ、いえ……なんだかあのグリムが、泣いているような気がして」

シャロン
「……そうかも、しれませんわね。
 ですが、わたくしたちが戦わなくては」

リエル
「はい。わかっています、お嬢様!」

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