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グリム・ユウ2回目A

~不可思議な空間~
エボルグリムたちが集う不可思議な空間でグリム・ユウは物憂げな様子で考え込んでいる。

グリム・ユウ
「……………………」

グリム・レオン
「なんだお前、姉貴はどうした?」

グリム・ユウ
「……おやすみ中。
 あなたこそクサビのところに
 いなくていいの?」

グリム・レオン
「知ったことかよ。
 オレは自分の意思で動く」

グリム・ユウ
「……自分の意思か……」

グリム・レオン
「はん、辛気臭い顔しやがって。
 いっちょ前に人間のふりかよ」

グリム・ユウ
「わたしだって悩むもん!
 だってお姉様が……お姉様が……ッ!
 でもクサビだって守らなきゃだし……」

グリム・レオン
「誰かに決められた道なんてつまんねぇ。
 お前のしたいようにしろよ。
 じゃあな」

グリム・ユウ
「え? ちょ、ちょっと!
 どういうこと!?」

踵を返すグリム・レオンは背中にかけられた驚愕と困惑の声を無視して立ち去った。

グリム・レオン
「……チッ、らしくねぇことしちまった」


一方クサビの元へと向かうユウが不意に口を開いた。

ユウ
「あのエボルグリム……このままでいいのかな?」

ラスク
「このまま、って?」

ユウ
「お姉ちゃんのいうことが全てって、僕は違う気がするんだ」

シャロン
「なるほど。ユウさんはあのエボルグリムを助けたいんですのね」

ラスク
「はい? それってどういうことさ?」

サツキ
「つまり、あの女の子――ユウちゃんに、姉離れをさせてあげようってことね」

ユウ
「そういうわけじゃないけど……
 『あの御方』っていうのとお姉ちゃん、
 二人に縛られてるのは窮屈じゃないかな」

シャロン
「でも、本人が幸せならいいんではなくて?
 それに相手はグリムですわよ?」

サツキ
「ユウの好きにさせてあげられないかしら」

ユウ
「お姉ちゃん……」

サツキ
「ユウは優しいから。
 もう一人のあなたを助けてあげたいのよね」

ユウ
「……うん。だから、僕に話をさせて欲しい。
 ダメかな?」

ラスク
「そんなこと言うわけないじゃん。
 ユウは大事な仲間なんだからさ」

シャロン
「わたくしたちは直接クサビの方に向かいますわ。
 あの子のことは、あなたに任せます」

ユウ
「うん!」


直接クサビの方に向かうラスクたちと別れグリム・ユウの元へとおもむいたユウを待っていたのは、
まなじりをつり上げ毛を逆立てた猫のように怒るグリム・ユウと、対照的に満面に喜色を湛えたサツキに似た女性だった。

グリム・ユウ
「あなた、また性懲りもなくッ!」

サツキに似た女性
『待ってたわ!
 しかもひとりだなんて、決心がついたのね!』

ユウ
「僕は話をしに来たんだ!」

グリム・ユウ
「話すことなんてない!
 お姉様のものになるか、ここで消えるかどちらかだもの!」

ユウ
「キミは本当にそれでいいの?」

グリム・ユウ
「うるさい! おんなじような顔で話しかけないで!
 お姉様がわたしの全てだっていったでしょ!!」

サツキに似た女性
『……………………』

ユウ
「なにもかも他人が決めた道で、本当にキミはいいと思ってるの!」

グリム・ユウ
「思ってる! 思ってるに決まってる!」

ユウ
「僕もお姉ちゃんがずっと側にいればいい……
 そんな風に思ってた。言うことを聞いてれば、そうできると思ってた」

グリム・ユウ
「……え?」

ユウ
「でも、大切なことは自分で決めないといけない」
「アカデミーのみんなと一緒にいるうちに、僕はそう気づいたんだ!」

サツキ
「ユウ、あなた……!」

グリム・ユウ
「……うるさい」

ユウ
「ユウ!」

グリム・ユウ
「……うるさいうるさいうるさいうるさい
 うるさいうるさいうるさいうるさいッ!!」

サツキに似た女性
『ユウ……大丈夫?
 あのユウは私のものにするんだから、怪我させちゃダメなんだからね?』

グリム・ユウ
「お姉様も黙ってて……
 ユウユウユウユウユウユウ!
 その名前を呼ばないでぇぇぇぇぇ!!」

悲鳴のような叫び声を上げたグリム・ユウは巨大なグリムへとその姿を変えた。

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