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グリム・ハルトクララ1回目B

クララ
「はあっ!」

クララの攻撃魔法をその身に受けた巨大グリムは、早々に人間態に姿を戻した。

グリム・クララ
「いった~! もうなにすんの!
 終わり終わり、はい、終了~!」

グリム・ハルト
「えっ、えっ? や、やめるの、ホントに?
 僕ほとんどなんもしてないけど……」

グリム・クララ
「だって、怯え過ぎだし。
 そういうの、ホントめいわくー」

グリム・ハルト
「勝手なことばかり……これだからリアルの女は……」

エボルグリムたちは、合体を解くなり口論を始めた。

ハルト
「あのグリムども……相性が悪いのでは?」

クララ
「そ、そうかもね……」

グリム・クララ
「ほら、さっさと帰るよ。
 マジ疲れたし、リフレッシュしたーい」

タイガ
「逃がすわけないやろ!」

アイコ
「そうそう!
 クサビだってまだ壊してないし」

グリム・クララ
「えー、うっそ。まだやる気とか。
 どうする、はるるん……あれ? どこいったし?」

ハルト
「奴ならば遥か彼方だ。
 貴様が我々に気を取られている隙にな」

グリム・クララ
「うわっ、マジ信じらんない!
 女の子ほっぽっていくとか最低すぎるし!」

クララ
「……それにはちょっと同意しちゃうけど、あなたを封印させてもらうから!」

グリム・クララ
「あー、これピンチってやつ?
 ……って、なんだ、はるるんいるじゃん!!」

ハルト
「なに!? まさか、不意打ちを!」

タイガ
「アカン、みんな注意せえ!
 ……って、なんも起こらんのかい!
 しかもその隙にまんまと逃げられとるし!」

タイガの言葉どおり、グリム・クララは忽然と姿を消していた。

アイコ
「こ、こんな古典的な手に引っかかるなんて」

クララ
「ま、まだ遠くには行ってないはず!
 探さないと!」

ハルト
「……いや、その必要はない。
 彼の者の居城は目と鼻の先のようだ」

クララ
「居城って――あ、あれは!?」

ハルトの言葉に振り返ったクララは、これまで探していたクサビを目にする。

タイガ
「えらい近いところにあったな。
 しっかし、なんで急に見えるようになったんや」

アイコ
「力の補充とか?」

クララ
「だとしたら、回復される前に封印しないと。
 行こう!」

クララたちはクサビの方向へ走り出した。
一方、グリム・クララはグリム・ハルトと合流していた。

グリム・クララ
「ちょっとー、こんなの出したらソッコー見つかっちゃうじゃん」

グリム・ハルト
「だ、だってさ、あいつらチートみたいに強いんだよ。
 こっちだって本気出さないと……」

グリム・クララ
「本気出してないのはあんただし。
 あーしの足引っ張りすぎ、マジ足手まとい」

グリム・ハルト
「だ、だって、怖いじゃないか。
 リアルはゲームと違って、痛いし……」

グリム・クララ
「そんなの知らないから。
 あんたのせいであーしが痛い思いするとかマジありえない。
 ホント、なんでこんな使えないのと組まされてんの」
「あーあ、他の人と組んでたらもっと遊べてたのに」

グリム・ハルト
「僕だって……僕だって、
 お前となんて組みたくなかったんだ!」

グリム・クララ
「はぁ!? あんたなんもしてねーじゃん。
 ほーんと、役に立たないし」

グリム・ハルト
「ううう、うるさいうるさいうるさいうるさい!
 い、言っていいことの判断もできないのか、ビッチ!」

グリム・クララ
「はぁぁぁぁぁぁ!? 何言っちゃってくれてんの!?
 マジいらつくんですけど!?」

グリム・ハルト
「僕はネトゲなら誰からも信頼される勇者なんだよ。
 お前そんな僕に生意気な口聞きやがって」

グリム・クララ
「はぁ? ちょっとなに言ってんのか
 わかんないんだけど」

グリム・ハルト
「勝手にお前のペースで進めんなよ!
 僕はスロースターターなんだよっ!」

口論に激昂したグリム・ハルトは、グリム・クララに向け魔法を放つ。

グリム・クララ
「えっ? な、なにこれ!?
 身体の力が抜けて……あんた、なにを……」


同じころ、クサビの下へ向かっていたクララたちは、騒音に気づき足を止める。

クララ
「な、なに!?
 向こうのほうが騒がしいみたいだけど」

ハルト
「いや、待て。
 なにかが……黒い何かがこちらへ向かってくる!」

一行の前に、轟音と共に巨大グリムが姿を現す。
強大な瘴気に包まれたその姿は、先程の戦闘時よりも遥かに禍々しくなっていた。

グリム・ハルト
「み、見せてやるんだ。
 僕の力を、僕の本気ってやつを!」

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