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グリム・ユリカイル2回目B

ユリ
「よーし、ここだあっ!」

ユリの渾身の一撃がグリムを撃つ。
大きな光が巨大なグリムを覆い、光が収まる頃には二人のグリムは人間態に戻っていた。

シャロン
「グリム化が解けましたわ!
 ユリさん、一度下がって!」

ユリ
「へ? ――きゃあ!?」

グリム・ユリ
「はぁはぁ……
 捕まえ、ました」

ラスク
「しまった!? ユリっ!!」

グリム・ユリ
「こうなれば、あの御方の
 障害になるあなたたちを……
 ひとりでも倒すしか道はない」

ユリ
「う、動けない……」

グリム・ユリ
「はぁ、はぁ……
 カイル、今です!」


グリム・カイル
「我の最期の力、全てぶつけさせてもらう!」
グリム・カイルの両手の上で雷の塊のような大きな魔法弾が二つパチパチと弾ける。

シャロン
「ここからでは間に合わない……っ!
 カイルさん! 封印を!」

カイル
「やっています!
 く……間に合ってください!」

ラスク
「ダメだ、このままじゃ!?」

グリム・ユリ
「これで、お役に――」


グリム・カイルの魔法弾が放たれるには十分過ぎる時を経て、カイルのグリモワールから溢れ出た光がグリム・カイルを捉えた。


ユリ
「あ……あれ?」


グリム・ユリ
「な……どう、して……?」


グリム・カイル
「……我も、まだまだ甘かった……
 そういうことだな……」


ラスク
「封印が間に合ったんだ!」


シャロン
「いえ、恐らく……」


カイル
「攻撃を、しなかったんですね」


グリム・カイル
「は、はは! はっはっはっは!!
 我も焼きが回ったようだ……
 こんな場所で志半ばに消えるとはな」


グリム・ユリ
「あなたは……
 私を疎ましく思っていたのでは……」


グリム・カイル
「無論だ。
 だが……似た顔に
 影響を受けたのかもしれん」


カイル
「……………………」


グリム・カイル
「聞け、我の原物たる魔法使いよ。
 我はこれよりお前の中に巣食うのみ。
 いつかその体を食い破ってくれようぞ」

尊大な態度を崩さぬまま、グリム・カイルはグリモワールへと封じられる。


カイル
「封印、完了しました」


ラスク
「ユリ、そっちも封印して!」

ユリ
「うん、わかった!」

グリム・ユリ
「無様だな……私は……」

ユリ
「どうして?」

グリム・ユリ
「どう、して……?
 戦いに敗れた私は、
 ただただ愚かなだけだろう」

ユリ
「違うよ、こういうときは――」

グリム・ユリ
「……?」

ユリ
「――ナイスファイト! っていうんだよ」

グリム・ユリ
「なるほど……覚えておこう」

ユリのグリモワールからグリム・ユリを包み込むように溢れた光が彼女を呑み込み封じた。

カイル
「彼らは本当にただのグリムなのでしょうか」

ユリ
「どういう意味?」

シャロン
「エボルグリムたちは、
 可能性なのかもしれません」
「わたくしたちには、
 あんな未来があったのかも……」


ユリ
「どうかな?
 あたしはあたしじゃない?」

ユリの明快な答えにカイルは笑う。

カイル
「なるほど。ユリさんらしいですね」

ユリ
「えへへ、あんまり難しく考えないで行こう!」

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