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グリム・リエル2回目B
幾度も炸裂した魔法により、纏った瘴気を散らされたグリム・リエルはドーベルマンから人間態へと姿を戻す。
グリム・リエル
「きゃああああああっ!!」
マヤ
「人間態に戻ったみたい!あとは封印できれば……」
リック
「チャンスだ。クサビを破壊するぞ!」
力をそがれ憔悴したグリム・リエルの隙を付き、放たれた魔法は寸分違わずクサビを直撃した。
結晶がひび割れるような硬質な音を立てて、クサビが砕け散る。
グリム・リエル
「やってくださいましたね……。
この、私が……このままでは、マスターを、守れ……ない……」
一方その頃、シャロンと対峙し魔法を放ちあっているグリム・シャロンもまた疲弊していた。
グリム・シャロン
「ぐぅ……はぁ、はぁ……随分としぶといです……わねっ!」
肩で息を切らしながらグリム・シャロンは魔法を放つが、シャロンは軽々と避ける。
シャロン
「ふふっ……その程度ですの?
わたくしはまだまだいけますわよ!」
グリム・シャロン
「本当にいけすかない方ですわね……!
はぁっ! てぁっ!」
苛立たし気にグリム・シャロンは連続で攻撃魔法を放った。
シャロン
「その程度、全て撃ち落としてみせますわ!」
連続で放たれた魔法に、シャロンが放った魔法がぶつかり合い爆発する。
グリム・シャロン
「ふん、何度でも放てばいいのですわ。
先に力尽きるのは間違いなくあなたですもの!」
シャロン
「その自分が優位にいるという思い上がりが、油断を生むんですのよ!」
互角かと思われた魔法弾合戦も、徐々にシャロンの魔法がグリム・シャロンを圧倒し始める。
グリム・シャロン
「ぐ……ぐ……あああああああ!?
このままでは……止めきれない……っ!?」
シャロン
「もうこの呪符ももたないようですわね……であれば、今ここで全ての力を使わせていただきます。
チェックメイト、ですわ!」
呪符の状態に長引く事は不利と捉えたシャロンが、全ての力を込めて巨大な魔法を放つ。
グリム・シャロン
「まずいですわ、まずいですわ。
ああ、ああ、あ――きゃあっ!?」
逃げ切れない状況にうろたえるグリム・シャロンは、飛び込んできたグリム・リエルに勢いのまま突き飛ばされた。
グリム・リエル
「まったく、これだから無能のマスターは困ります」
グリム・シャロン
「まったく、わたくしを突き飛ばすなど……え?」
グリム・リエル
「何を不思議そうな顔をしているのですか?
ふふ……どうであれ、マスターをお守りするのが、メイドの役目ですから……かはっ!?」
リエル
「お嬢様、お待たせしましたっ!!お手伝いします!」
シャロン
「少々遅いですわよ、リエルさん。
封印をお願いします。わたくしはあちらの偽者を抑えるのが仕事ですから」
グリム・リエル
「行かせ、ませんよ……!
この身に代えたとしても、マスターの……障害は、消さな、ければ……!」
息も絶え絶えとなったグリム・リエルが残りの力を振り絞って放った魔法は、避けようと飛び退いたシャロンを打つ。
シャロン
「……っ!?やられ、ましたわね……ですが!
リエルさん、封印を!!」
リエル
「はいっ! 絶対に封印します!
はぁっ!!」
リエルが掲げたグリモワールから光が溢れグリム・リエルへと降り注いだ。
グリム・リエル
「ああぁぁぁぁぁっ!?」
グリム・リエルは光と共に消え、形代だけがグリモワール内に残される。
グリム・シャロン
「あ……あ……ああああ、あああああああ!
わたくしは……わたくしは……何をして……」
眼前での喪失に愕然とし、取り乱したグリム・シャロンは無差別に攻撃魔法を放つ。
マヤ
「無差別に攻撃してる……暴走!?
危険よ、シャロンさん! リエルさん!」
リック
「クサビは破壊した。
瘴気が尽きればすぐに収まるとは思うが……」
リエル
「お嬢様……! お嬢様!!大丈夫ですか!?」
シャロン
「ふ、ふふ……
封印は無事に成功したようですわね」
リエル
「はい……お嬢様のおかげです」
シャロン
「わたくしたちは今は学友ですわ。
お嬢様では……ありません」
リエル
「はい、そうですね!」
シャロンの姿と言葉に安堵と喜色を浮かべたリエルの頬を涙が伝い落ちた。
シャロン
「こうしている場合ではありませんわ。
あちらも早く封印しなくては……」
グリム・シャロン
「許しません、許しませんわ……絶対に、許しませんわぁぁぁぁぁぁ!!」
グリム・シャロンの激昂に呼応するように雷鳴が鳴り響く。
グリム・シャロン
「あなた方は……あなた方は絶対にやってはならないことをしました。
わたくしの所有物を勝手に壊したんですもの!!」
「覚えていなさい! このわたくしを!
あなた方を倒すのは……このわたくしですわっ!!」
地面を揺るがすような大きな雷が落ちると同時にグリム・シャロンは姿を忽然と消した。
マヤ
「消え、た……?」
リック
「逃げられたようだな。
だが一体は封印し、クサビも破壊できた。十分すぎるほどだろう」
リエル
「……なんだか、少し悲しい感じがしますね」
シャロン
「気に病む必要はありません。
あれはグリムであり、わたくしたちの贋作ですわ。同じ人間ではありませんもの」
リエル
「だけど、私に似た彼女が主人を守ろうとした思い……それは、きっと本物だったと思うんです」
シャロン
「そうかも……しれませんわね。
一個人としての人格を持つエボルグリム……まだわからないことが多すぎますわ」
グリム・リエル
「きゃああああああっ!!」
マヤ
「人間態に戻ったみたい!あとは封印できれば……」
リック
「チャンスだ。クサビを破壊するぞ!」
力をそがれ憔悴したグリム・リエルの隙を付き、放たれた魔法は寸分違わずクサビを直撃した。
結晶がひび割れるような硬質な音を立てて、クサビが砕け散る。
グリム・リエル
「やってくださいましたね……。
この、私が……このままでは、マスターを、守れ……ない……」
一方その頃、シャロンと対峙し魔法を放ちあっているグリム・シャロンもまた疲弊していた。
グリム・シャロン
「ぐぅ……はぁ、はぁ……随分としぶといです……わねっ!」
肩で息を切らしながらグリム・シャロンは魔法を放つが、シャロンは軽々と避ける。
シャロン
「ふふっ……その程度ですの?
わたくしはまだまだいけますわよ!」
グリム・シャロン
「本当にいけすかない方ですわね……!
はぁっ! てぁっ!」
苛立たし気にグリム・シャロンは連続で攻撃魔法を放った。
シャロン
「その程度、全て撃ち落としてみせますわ!」
連続で放たれた魔法に、シャロンが放った魔法がぶつかり合い爆発する。
グリム・シャロン
「ふん、何度でも放てばいいのですわ。
先に力尽きるのは間違いなくあなたですもの!」
シャロン
「その自分が優位にいるという思い上がりが、油断を生むんですのよ!」
互角かと思われた魔法弾合戦も、徐々にシャロンの魔法がグリム・シャロンを圧倒し始める。
グリム・シャロン
「ぐ……ぐ……あああああああ!?
このままでは……止めきれない……っ!?」
シャロン
「もうこの呪符ももたないようですわね……であれば、今ここで全ての力を使わせていただきます。
チェックメイト、ですわ!」
呪符の状態に長引く事は不利と捉えたシャロンが、全ての力を込めて巨大な魔法を放つ。
グリム・シャロン
「まずいですわ、まずいですわ。
ああ、ああ、あ――きゃあっ!?」
逃げ切れない状況にうろたえるグリム・シャロンは、飛び込んできたグリム・リエルに勢いのまま突き飛ばされた。
グリム・リエル
「まったく、これだから無能のマスターは困ります」
グリム・シャロン
「まったく、わたくしを突き飛ばすなど……え?」
グリム・リエル
「何を不思議そうな顔をしているのですか?
ふふ……どうであれ、マスターをお守りするのが、メイドの役目ですから……かはっ!?」
リエル
「お嬢様、お待たせしましたっ!!お手伝いします!」
シャロン
「少々遅いですわよ、リエルさん。
封印をお願いします。わたくしはあちらの偽者を抑えるのが仕事ですから」
グリム・リエル
「行かせ、ませんよ……!
この身に代えたとしても、マスターの……障害は、消さな、ければ……!」
息も絶え絶えとなったグリム・リエルが残りの力を振り絞って放った魔法は、避けようと飛び退いたシャロンを打つ。
シャロン
「……っ!?やられ、ましたわね……ですが!
リエルさん、封印を!!」
リエル
「はいっ! 絶対に封印します!
はぁっ!!」
リエルが掲げたグリモワールから光が溢れグリム・リエルへと降り注いだ。
グリム・リエル
「ああぁぁぁぁぁっ!?」
グリム・リエルは光と共に消え、形代だけがグリモワール内に残される。
グリム・シャロン
「あ……あ……ああああ、あああああああ!
わたくしは……わたくしは……何をして……」
眼前での喪失に愕然とし、取り乱したグリム・シャロンは無差別に攻撃魔法を放つ。
マヤ
「無差別に攻撃してる……暴走!?
危険よ、シャロンさん! リエルさん!」
リック
「クサビは破壊した。
瘴気が尽きればすぐに収まるとは思うが……」
リエル
「お嬢様……! お嬢様!!大丈夫ですか!?」
シャロン
「ふ、ふふ……
封印は無事に成功したようですわね」
リエル
「はい……お嬢様のおかげです」
シャロン
「わたくしたちは今は学友ですわ。
お嬢様では……ありません」
リエル
「はい、そうですね!」
シャロンの姿と言葉に安堵と喜色を浮かべたリエルの頬を涙が伝い落ちた。
シャロン
「こうしている場合ではありませんわ。
あちらも早く封印しなくては……」
グリム・シャロン
「許しません、許しませんわ……絶対に、許しませんわぁぁぁぁぁぁ!!」
グリム・シャロンの激昂に呼応するように雷鳴が鳴り響く。
グリム・シャロン
「あなた方は……あなた方は絶対にやってはならないことをしました。
わたくしの所有物を勝手に壊したんですもの!!」
「覚えていなさい! このわたくしを!
あなた方を倒すのは……このわたくしですわっ!!」
地面を揺るがすような大きな雷が落ちると同時にグリム・シャロンは姿を忽然と消した。
マヤ
「消え、た……?」
リック
「逃げられたようだな。
だが一体は封印し、クサビも破壊できた。十分すぎるほどだろう」
リエル
「……なんだか、少し悲しい感じがしますね」
シャロン
「気に病む必要はありません。
あれはグリムであり、わたくしたちの贋作ですわ。同じ人間ではありませんもの」
リエル
「だけど、私に似た彼女が主人を守ろうとした思い……それは、きっと本物だったと思うんです」
シャロン
「そうかも……しれませんわね。
一個人としての人格を持つエボルグリム……まだわからないことが多すぎますわ」